その人らしさを支える
もちろん、それも大切なことです。
でも、僕自身は、支援とは、
「その人が、その人らしく暮らしていくための環境や関わりを、一緒に整理していくこと」
だと思っています。
「ASDだから」で終わらせない
発達障害の支援に関わっていると、
「ASDだから視覚的な支援」
「ADHDだから過集中にならないように休憩を」
という言葉を耳にすることがあります。
もちろん、それ自体は間違いではありません。
実際、見通しを持てることで安心できる方もいますし、適度に休憩をとることで生活しやすくなる方もいます。
でも、ときどき気になることがあります。
それは、
「障害特性への対応」だけが先行して、
“目の前のその人”が見えなくなってしまうことです。
本当に大切なのは、
「ASDだからどうするか」ではなく、
「この人にとって、どうすると暮らしやすくなるのか」
を考えることではないでしょうか。
マクドナルドで考えたこと
以前、グループホームで働いていたときのことです。
ある利用者さんは、ご家族と一緒にマクドナルドへ行くことが好きでした。
でも、入居後、ご家族は、
「一人では難しいから、もう行けないね」と話されていました。
でも僕は、「その人にとっての大切なことは、僕らも大切にしたい」と思ったんです。
そこで考えたのは、“ご本人を変える”ことではなく、“環境を調整する”ことでした。
事前にお店へ行き、
「この方は、言葉だけでのやり取りだと混乱しやすです」
「絵カードを使って注文します」
「細かく確認されると、逆にわからなくなってしまうことがあります」
そんなことを、店員さんに説明しました。
そして実際に同行しながら、どんな流れなら安心して注文できるか。
どんな声かけだとわかりやすいか。
少しずつ整理していきました。
数回一緒に取り組んだのちに、その方は、
「一人でマクドナルドへ行って、食べて、帰ってくる」
ことが地域でできるようになってきました。
信じて任せてくださったご家族、そしてご協力してくださったお店の方々、
何よりご本人に本当に感謝したエピソードでした。
地域の側が変わることで、暮らしは変わる
ここで大切だったのは、
「本人に社会のルールを徹底的に覚えてもらうこと」
ではありません。
地域の側が、少しだけ関わり方を調整したこと。
そのことで、その人の暮らしの選択肢が広がった。
僕はそこに、大きな意味があると思っています。
「この人にとってどうか」を考え続ける
もちろん、現実は簡単ではありません。
支援には迷いもありますし、「これでよかったのかな」と思うこともたくさんあります。
それでも、
「この人にとってどうか」を考え続けること。
そして、その人らしく暮らしていける方法を、一緒に探していくこと。
それが、支援の出発点なのではないでしょうか。
このニュースレターでは、
発達障害支援や子育て、地域とのつながりについて、
「正解」を押しつけるのではなく、
一緒に考えていけるような言葉を書いていきたいと思っています。
見方を変えて、味方になる。
そんな視点を、ここで一緒に育てていけたら嬉しいです。
佐々木康栄
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